アフリカの民話を未来へ残す作業はインターネットでもよいのか。よくはない。いまのところ、という留保はつけていいかも知れないが、かなり先の未来まで「保存」という側面で「本」の優位性は動かない。インターネットでは、二百年後まできちんと保存してくれるという保証がない。超巨大データベースの片隅で、二十世紀に収集されたアフリカの民話が残っていることはあっても、それが正しく保存されているという保証はどこにもない。そのデータがどういう由来でどういう意味をもつかということも含めて、共通の保存原則が確立されていないからだ。だいたいラテン文字だけでは表現すらできない。本を作ってそれをまるごと画像情報として残す、デジタル・アーカイブという技法もある。いわば本一冊全ページを写真に撮ってしまうようなものだ。こうすれば未来にも残しやすいし、デジタル・アーカイブは方法が確立されているので利用もしやすい。しかし、それなら結局「本」を作っているのと同じではないか。結局、当てのない未来に情報を残すのに「本」以上の方法はない。こうした当てのない未来に残す「本」を作りつづけることは重要だし、国の文化施策の方向によっては充分魅力ある産業になるだろうが、すべての印刷会社のメシのタネになるとはとても思えない。だいたい日本政府が、直接的な景気浮揚効果が最少であろうこうした文化事業にいきなり巨額予算を組むとも思えない。理念は理念として、さらに現実に生き残るのは何だろうか。
[参考情報]
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