家はまがいもの、にせもので満ちあふれている。木もどきのもの、石のまがいもの、漆喰に似せたものなどばかりである。それらは安物というだけでなく、人の健康に害を及ぼし、火災時には瞬時に命をも奪う。こういう材料で遺られた家が、「いい家」であるはずがない。人が身近に接する内装材に自然素材を使った家こそ、「いい家」だといえる。なぜならば、人間そのものが自然から生まれたものだからだ。家の構遺体も自然素材で遣るに越したことはないが、建てる場所や規模によっては、鉄筋コンクリートや鉄骨でなければならないと法律で定められている。住む人が鉄骨や鉄筋コンクリートの方が好きだという場合もあるだろう。構造についてはそれでいい。では、内装はどうあったらよいのか、これが思いのほか重要なのである。内装というと、インテリアコーディネーターが登場して、壁紙の色、照明や家具の選び方などをアドバイスしてくれるようだが、ここで私が言いたいのは、色やコーディネートの問題ではない。もっと重要なこと、今広く使われている素材に関する建築そのものの問題なのである。床は合板のフローリング、壁や天井はビニールクロス、ドアやパネルはパーティクルボードなどの石油化学製品、それらに使われているのは接着剤。家の中は化学物質の氾濫である。ビニールクロスはプラスチックの一種であり、軟らかくするために可塑剤を入れている。接着剤も石油から作った薬品である。そこから揮発するガスをVOCと呼び、その一つがホルムアルデヒド、いわゆるホルマリンである。今、科学が作り出した炭素化合物は二〇〇〇万種類もあるといわれている。接着剤やプラスチックの種類など、数え上げたらキリがない。