単純なウール製

2011.07.13

ポーズは当初、単純なウール製であった。それがニットに変わったのは、技術革新に依るところが大きい。1589年、ウィリアムーリーという英国人牧師が、足踏み式のメリヤス編機を発明したのだ。メリヤスはスペイン語で靴下を意味する「メディアス」が転誂したものと考えられ、ここからもスペインの関与がうかがえる。脚線美を強調したいという時代の欲求に応えるのに、靴下編機ほど相応しいものはなかった。ニット製ポーズは高価な存在だったが、ひとびとはこぞってポーズを求めるようになった。ポーズは日本へは16世紀後半、南蛮貿易によってもたらされ、徳川光國はメリヤス製のものを着用したことが知られる。そしてポーズを履くとき、欠かせないのがガーターである。ポーズは己の脚線美を強調するだけでなく、家紋や勲章を足元で表現する手段でもあった。ルネサンス期の貴族がポーズを愛用したのは、そうした事情による。16世紀、ポーズを留めるためにイタリア製のガーターが珍重された。ローマを訪れたヨーロッパのある外交官が、仕える公のためにナポリ製のガーターを買い求めたことが記録されているほどだ。