ブランドビジネスは今、実際にモノの売り買いをしない、客の顔も見たことがない、規模の拡大をひたすら追求する合理的な経営者によって、左右されている。職人でもなく、小売を営む商売人でもなく、数字を管理する経営者がブランドの命運を握っている。一九九九年にLVMHに買収された高級宝飾品ブランド、ショーメのティエリー・フリッチ社長は次のようにいう。ブランドビジネスには強力な資金のバックアップが不可欠。潤沢な資金がなければ、国際的な商売はできない。(日経流通新聞二〇〇三年一〇月二一日)ほかのブランドのように、我がブランドも日本で成功したい、世界にどんどん進出したい、事業を拡張させたいという欲求が、ブランドの買収・合併を後押ししている。ファミリービジネスを貫くブランドがもっとあってほしい、細々とした規模で事業を営むだけでもいいではないか、と私などは思ってしまうが、それはもはやノスタルジーに過ぎないようだ。ここで、巨大化するブランドビジネスが推し進めている戦略をまとめてみた。1.世界の主要都市で三〇〇坪以上の大型店を展開する2.自前で生産・在庫管理を行うシステムを構築する3.有望デザイナーをブランドに起用する4.若い層を取り込む5.トレンドを反映させた新作を発表する6.品揃えの幅を広げ、ライフスタイルを提案する7.本当のセレブリティを広告・宣伝、広報活動に起用し、ブランドのイメージを上げる。これらの戦略が見事に結実したマーケットがほかでもない、日本だ。というよりも、日本市場が、ブランドのポテンシャルをブランド本社に気づかせ、こうした戦略を強化させているのかもしれない。