アンジェラ(仮名)も困り果てた顔をしながらも、服の山から、これもだめ、あれも使えないと彼女がひとつひとつ選り分け始めた。懐かしい日本の友人たちと行ったバーゲン戦利品の数々、デザイナーズ・ブランドの真っ黒なワンピース、ミラノに引っ越して一週間目に浮かれて買ったヴェルサーチのボディコンジスな紫のスーツも……。やっぱりだめかと心の中で呟く私。しばらくしてアンジェラ(仮名)は、一本のパンツを見つけ「これが似合うんじゃない?」と言った。それはずいぶん前に買って、すっかり忘れていた紺の幅の広いパンツである。え、これ?流行らないなあ。しかしここは素直に従い、早速はいてみる。彼女が、同じ紺の丈の長いカーディガンを手渡してくれる。インナーにと黒のレースのボディを選ぶあたりは、さすがイタリア女の感覚。買ってみたものの着こなすことができ他人のもののようによそよそしかった服が、急に親しみを帯びてくる。あ、何だか私っぽい、この格好。そして仕上げに長いパールのネックレスをつけて、コーディネイトは完成した。